ワークショップ

ワークショップ 塾高生 清水理司さん の言葉

2019年11月に、日吉協育ホールにおいて慶應義塾大学教養研究センター・慶應義塾高等学校連携 教養の一貫教育として「 舞踏家雪雄子による身体表現ワークショップ」が行われました。
そのときの塾高生のひとり、清水理司さん より感想をいただいておりました。
今回、清水さんより掲載許可をいただき、雪雄子のワークショップという場から立ち現れた声として、ここに公開させていただきます。

今回舞踏に触れ、お礼をするにあたって、何か自分が得たものやら、感じ取って成長したことやらを書きたかったのですが、僕の言葉ではあまりにもそれを表現する事は難しく、それに僕の心に入ってきたそれは染み込むようで、もしくは霧となって漂うように曖昧で、言葉では言い表せそうにありません。なのでただそのままに、僕の心の中で思い描かれていた風景を書きたいと思います。

僕がいたのは白い霧に覆われた雪原に、ぽっかり空いたように広がる湖でした。雪がシンシンと降っていました。湖を囲うように藤が(藤の生態的にそれが正しいのか分かりませんが)立っていました。湖の向こう側には小高い丘があり、その頂上はやはり藤が一本だけ生えていました。それらは降る雪を積もらせ、風に靡いて、ガサガサ言いながら雪を落としていました。風の音と藤の音以外には何も音もなく、静かでした。湖の中央には蓮の花が一つだけ浮かんでいて、それを囲うように葉が小舟のように漂っていました。足音一つない雪原、月明かりの夜に雪の白が一層映えていました。

湖を取り囲む藤が音を立てず、滑るように湖を周り始めました。彼らは蓮の花を一心に見つめていました。しばらく周った後、それは溶けてドロドロになりました。それは胎児のようでした。そしてそれは細長く再形成されて、蛇になって湖を滑るように這い、蓮の花に辿り着きました。

上空には風が一直線に吹いていました。なかなか強い風でした。すると、風に乗りながら白鳥の群れがピューと飛んで来ました。白鳥達は湖のちょうど上辺りに輪を描きながら舞い降りました。彼らの羽ばたきに揺らされて、湖面にいくつもの、小さな波紋が広がっていました。彼らは足の先っぽを湖につけながら、切るようにツーと飛んでゆき、皆小高い丘に止まりました。そして丘のさらに向こう側、僕には見えないところに向かってしきりに鳴きました。少し寂しげにも見えました。

僕は藤になり、胎児になり、蛇になり、風になり、白鳥になり、もしくはどこかで歩いているかもしれない三味線引きになり、この光景の一部であり続けました。

これが僕の見た景色です。先生の意図したものとは違ったかもしれませんが、それでも僕はこの光景を見ていました。そしてこれを見せてくれたのは先生と鈴の音だと思っています。先生は、迷っていた僕の道案内をしていただいているようでした。

ありがとうございました。

清水理司